トルストイ

快楽の増大は、たたかいの緊張度と、苦悩に対する感受性とを増大させ、死を近づける。死の接近を自分に隠すには、方法は一つしかない。快楽をさらに増大させることである。しかし、快楽の増大が限度に達してもはや増大させえなくなると、快楽は苦悩に変わってゆき、あとに残るのは苦悩への感受性と、苦悩だけの中をますます近く迫ってくる死の恐怖だけになる。こうして悪循環がはじまる。

トルストイ

人々は物の代りに影を研究しているうちに、もともとその影を研究していたかんじんの物のことなどすっかり忘れてしまい、ますます影に深入りしていって、完全な闇に入りこみ、一面の影であることを喜んでいるのだ。